【東京・池袋】大人のためのペン字・書道教室

漢字編

字をきれいに見せるコツ 漢字編(14)~漢字の上部に来る点は少し右寄りに

今回は、文字の上部にくる「点」の配置についてお話しします。

「夜」「宮」「亮」「京」「商」「高」「裏」など、一画目に点が上部にくる漢字は数多く存在します。これらの字を書く際、多くの方が迷うのが「この点をどこに打てばよいのか」という問題です。

一般的な認識と実際のコツ

活字(印刷された文字)では、当然のことながら点は文字の中央に配置されています。また、これらの漢字の多くは左右対称の構造を持っているため、私たちは無意識に「点も中央に打つべき」と考えがちです。実際、多くの方が文字の真ん中に点を打って書いているのではないでしょうか。

しかし、手書きの美文字を目指すなら、ほんの少し右側(後ろ寄り)に点を打つことをおすすめします。

なぜ右寄りがよいのか

この「右寄り」の点の配置は、実は行書の伝統的な書き方に由来しています。行書では、筆の流れや文字全体のバランスを考慮して、点をやや右側に配置するのが一般的です。

この行書のテクニックは、楷書(一般的な手書き文字)でも十分に応用できます。ど真ん中よりも少し右にずらして点を打つことで、文字全体がより洗練された印象、大人っぽい雰囲気が生まれます。

上の点は少し右寄りに打つ(夜)

反対に、点を前寄り(左側)に打つのは避けましょう。画像のように、右側に打ったほうが安定して見えます。

上の点は少し右よりに打つ(宮)

大切なのは「ほんの少し」右にずらすということです。極端に右に寄せる必要はありません。文字の中心線から、点一つ分程度右側を意識してみてください。

藤井 光砂

ふじい こうさ 日本書道学院 漢字・かな師範。西安碑林国際書道展 常任理事。霞友会副幹事。 幼少の頃より書道に親しむ。2000年より日本書道学院展、2003年より西安碑林国際書道展に出品。2021年西安碑林国際書道展 中国大使館賞を受賞。自身の作品制作の他、病院や高齢者施設での書道教授や、海外観光客向けの書道体験教室運営を行っている。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、ロンドン・シティ大学大学院文化政策コース修了。

字を書くのが苦手、字が汚いので人前で書きたくない、でもどこから直せばいいのかもわからない――そんな悩みはありませんか。大人が字をきれいに書くためには、子供のときのように見よう見まねで練習するよりも、頭でルールを理解し、覚えていくのが早道です。これは美文字に近づくワンポイントレッスンです。

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