今回は、文字の上部にくる「点」の配置についてお話しします。
「夜」「宮」「亮」「京」「商」「高」「裏」など、一画目に点が上部にくる漢字は数多く存在します。これらの字を書く際、多くの方が迷うのが「この点をどこに打てばよいのか」という問題です。
一般的な認識と実際のコツ
活字(印刷された文字)では、当然のことながら点は文字の中央に配置されています。また、これらの漢字の多くは左右対称の構造を持っているため、私たちは無意識に「点も中央に打つべき」と考えがちです。実際、多くの方が文字の真ん中に点を打って書いているのではないでしょうか。
しかし、手書きの美文字を目指すなら、ほんの少し右側(後ろ寄り)に点を打つことをおすすめします。
なぜ右寄りがよいのか
この「右寄り」の点の配置は、実は行書の伝統的な書き方に由来しています。行書では、筆の流れや文字全体のバランスを考慮して、点をやや右側に配置するのが一般的です。
この行書のテクニックは、楷書(一般的な手書き文字)でも十分に応用できます。ど真ん中よりも少し右にずらして点を打つことで、文字全体がより洗練された印象、大人っぽい雰囲気が生まれます。

反対に、点を前寄り(左側)に打つのは避けましょう。画像のように、右側に打ったほうが安定して見えます。

大切なのは「ほんの少し」右にずらすということです。極端に右に寄せる必要はありません。文字の中心線から、点一つ分程度右側を意識してみてください。