漢字編

字をきれいに見せるコツ 漢字編(1)~三本横線はそれぞれ方向を変える

漢字でよく出てくるのが、横線です。「王」「三」など、三本横線があり、一番下に来る線が最も長くなる字を今回はご紹介します。

これらの横線は、活字で見るとすべて平行で同じ向きです、しかし、手書きでは同じように平行に書くと、あまりきれいには見えません。

三本の横線は、それぞれの向きを変える

ではどうすればよいか。それぞれ、線の方向を変えて書きます。こちらのとおりです。

一本目:少し右上に、お皿のように少し反ります。
二本目:角度は小さめに、やや右上に向かって書きます。反ったりはせずにまっすぐに。
三本目:鍋ぶたのような形、一本目とは逆の向きにやや反ります。

一番下に来る横線だけは、右上がりは控えめに

字は基本的に少し斜め上に向かって線を書くのですが、最後の横線だけは、字の最後の一画として落ち着かせるために、右斜めを控えめにして、どっしりと書きます。とはいっても、線の書き始めの地点よりも縦位置で下がることはありません。

この法則を使って書くことができる字は「正」「主」「生」などです。

二本線のときも同じルールを適用

では「ニ」のような二本線の場合は、どうでしょうか。

一本目:少し右上に、お皿のように少し反ります。
二本目:先に説明した三本目のように、鍋ぶたのような形になります。
「二」は、「三」の真ん中の画が抜けたと考えるとわかりやすいでしょう。

最後の線の書き始めの地点よりも、縦位置で下がることはありません。
「工」「土」なども同じです。

横線を活字のようにただまっすぐに機械的に書くと、手書きではきれいには見えません。ぜひ、ご紹介したように横線にわずかな変化をつけてみてください。

藤井 光砂

ふじい こうさ 日本書道学院 漢字・かな師範。西安碑林国際書道展 常任理事。霞友会副幹事。 幼少の頃より書道に親しむ。2000年より日本書道学院展、2003年より西安碑林国際書道展に出品。2021年西安碑林国際書道展 中国大使館賞を受賞。自身の作品制作の他、病院や高齢者施設での書道教授や、海外観光客向けの書道体験教室運営を行っている。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、ロンドン・シティ大学大学院文化政策コース修了。

字を書くのが苦手、字が汚いので人前で書きたくない、でもどこから直せばいいのかもわからない――そんな悩みはありませんか。大人が字をきれいに書くためには、子供のときのように見よう見まねで練習するよりも、頭でルールを理解し、覚えていくのが早道です。これは美文字に近づくワンポイントレッスンです。

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP