漢字編

字をきれいに見せるコツ 漢字編(2)~へんとつくりは2分の1ずつ、へんのパーツは中心線に向かって短くなる

今回は、左右に分かれる字、つまり、へんとつくりのバランスについてです。注意したいことは二つあります。

「へん」と「つくり」の横幅は、およそ「半分半分」

一つ目に、「へん」と「つくり」の横幅は、原則としてだいたい「半分半分」と考えてください。
言い方を変えると、「へん」の横幅を細くしすぎない、ということです。
もちろん例外もあります。「湖」のような字は、横幅を3等分できるので、「さんずい」は3分の1の幅になります。

「へん」のパーツは中心線に向かって短くなる

二つ目に、「へん」の部分に来るパーツは、左右対称の形ではなくなる、という点です。

「木」と「林」です。「林」の左側は「木へん」です。もとの「木」という字は縦線をはさんで左右対称ですが、へんの位置に来ると、右払いが枝を切られたように変わります。横線も縦線を挟んで左が長くなります。

「金」と「鉄」でも、「金」は「金へん」となると、左右対称ではなくなります。さらに中心線に向かって左から右上へと線が斜めになります。「金」の右はらいも短く切れています。

「言」と「調」でも、「言」が「ごんべん」になると、一番上の横線は右端が短くなります。上部の点の位置も、横線に対して真ん中ではなくなります。

「青」「静」では、一見あまり違いはないようですが、左右バランスが「へん」の位置に来ると変わっています。また、「青」の横線は、より左下から右上へと斜めの線になります。

「へん」になると、形が変わる理由

いずれも、もとの左右対称の字は、「へん」になったとたんに、中心線からはみ出ないようにそろえるような形に変わります。なぜ、このように書くのでしょうか。右側に来る「つくり」を置きやすくするためです。もし左右対称のまま「へん」を書いていたら、右側に来る「つくり」を置く場所が狭くなり、書ききれません。「へん」のために場所を空けているようなものです。

「へん」と「つくり」がある字は、「へん」を中心線からはみ出ないようにそろえる意識で書くと、字がまとまりやすくなります。

藤井 光砂

ふじい こうさ 日本書道学院 漢字・かな師範。西安碑林国際書道展 常任理事。霞友会副幹事。 幼少の頃より書道に親しむ。2000年より日本書道学院展、2003年より西安碑林国際書道展に出品。2021年西安碑林国際書道展 中国大使館賞を受賞。自身の作品制作の他、病院や高齢者施設での書道教授や、海外観光客向けの書道体験教室運営を行っている。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、ロンドン・シティ大学大学院文化政策コース修了。

字を書くのが苦手、字が汚いので人前で書きたくない、でもどこから直せばいいのかもわからない――そんな悩みはありませんか。大人が字をきれいに書くためには、子供のときのように見よう見まねで練習するよりも、頭でルールを理解し、覚えていくのが早道です。これは美文字に近づくワンポイントレッスンです。

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