入門編

字をきれいに見せるコツ 入門編(2) ~字のかたち、空ける場所を意識する

字の全体としてのかたちをとらえていくと、字のバランスをとる助けとなります。ご自身の名前や住所などで考えましょう。

字全体のかたちはどうなっている?

あなたが頻繁に書く字は、左右対称、非対称でしょうか、右部と左部、もしくは上部と下部で分かれていますか。左右に分かれているならば、どちらかが大きい、または小さいでしょうか。

これらは上下で分かれる部類の字です。形は赤線の通りです。左の「義」は上部が小さめで、下部に行くほど広がります。右の「宇」は上部が大きく、下部は小さくなります。

では、左右で分かれる字の場合は、どうでしょうか。

左の「和」は、左のへんの部分が大きく、右側のつくりは小さくなります。右の「明」は逆に、左のへんが小さく、右側のつくりが大きいですね。

加えて、次のような文字はどうでしょうか。

ダイヤ型といいますか、字の途中で横に大きく広がり、下に行くとすぼむタイプです。左右のはらいがある字はこのタイプが多いです。

このように字の形状が、三角、逆三角、ダイヤなどの特徴がある場合は、かたちを意識します。ちなみに「国」のように、四角であまり形状には特徴のない字もありますから、すべてに当てはまるわけではありません。

字の中に「空き」はあるか

さらに、字のどこかに「空き」があるかも意識してみてください。

左の「郎」は、右側は少し下げる、つまり上部を少し空けます。右の「之」は、右側に空きがあります。空きを意識することも、書くときの助けになります。

では、字の形や空きはどこで確認すればいいのでしょうか。印刷物の活字、また携帯電話等の画面上フォントは、字のかたちはほとんどが四角で、特徴がよくわかりません。この連載では活字からはわかりにくい文字の特徴を紹介していこうと思います。手書きのときこそ、字全体のかたちを意識するときれいに書けます。

なお、掲載したようなわかりやすい特徴が自分が書く字にはない、という方もいらっしゃるかもしれません。明確な特徴はなくても、気を付けるとよいことはありますので、順にお伝えしていきます。

藤井 光砂

ふじい こうさ 日本書道学院 漢字・かな師範。西安碑林国際書道展 常任理事。霞友会副幹事。 幼少の頃より書道に親しむ。2000年より日本書道学院展、2003年より西安碑林国際書道展に出品。2021年西安碑林国際書道展 中国大使館賞を受賞。自身の作品制作の他、病院や高齢者施設での書道教授や、海外観光客向けの書道体験教室運営を行っている。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、ロンドン・シティ大学大学院文化政策コース修了。

字を書くのが苦手、字が汚いので人前で書きたくない、でもどこから直せばいいのかもわからない――そんな悩みはありませんか。大人が字をきれいに書くためには、子供のときのように見よう見まねで練習するよりも、頭でルールを理解し、覚えていくのが早道です。これは美文字に近づくワンポイントレッスンです。

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